大学受験の参考書を紹介するチャンネルがある。
昔はよく参考にさせてもらった武田塾チャンネルだが、
最近は見ることがなくなっていた。
久しぶりにYoutubeのお勧めに出てきたのを見たが、ずいぶん酷い内容だった。
①「リンガメタリカ」を下げて「FINAL時事英語(関正夫)」を薦めていた!
②「やっておきたい英語長文300」を下げて「関正夫のThe Rules 英語長文」を薦めていた!
これは、信じた高校生がいたら、気の毒としか言えない。
比べる事ができる代替可能な同じレベルの参考書ではないからだ。
①から説明しよう。
「リンガメタリカ」は確かに古すぎる。20年前の本である。
しかし、グローバル化にしても経済にしても、
当時の最先端の「学問」に肉薄しながら単語を学んでいこうという姿勢なので、
レベルはかなり高い。
日本語部分が、十分に考えさせられるように作られており、
この本で英単語を覚えた学生は、
おそらく大学の学問に少なからず期待を抱いたのではないだろうか。
それに対して「FINAL時事英語」は、
CNNなどのニュースから英文を取っており、
確かに現在話題になっている単語が学べる。
同性婚やコロナ関連のこれから入試に出題されそうな話題の単語を学べる。
しかし、英文はニュースなので当然、易しい。
リンガメタリカを使うレベルの受験生にとっては、簡単すぎるといってもいいだろう。
リンガメタリカを「哲学書」とするなら、FINAL時事英語は「テレビ」である。
「哲学書」を捨てて「テレビ」を見よう、というのだから呆れる。
どうしてこの2冊が比較対象になりうるのか?!
おそらく、目新しい単語、最新の話題の単語なら、FINAL時事英語だよね、
くらいの意識なのだろう。
②「やっておきたい英語長文300」と「関正夫のThe Rules 英語長文」
「やっておきたい」を揶揄して「やらなきゃよかった」みたいなことを言って批判していたが、
この2冊も比較すべき2冊ではない。
「やっておきたい」は、入試長文30題が詰め込まれているのに対して、
Rulesは12題しかない。
つまり、まだ学力が低くて詳しい解説が必要なレベルなら、Rulesの一択だろう。
しかし、
やっておきたいに挑戦するレベルの生徒は、
長文問題の数をこなしていきたい、
数をこなすことで学力を上げていきたいというレベルなはずなので、
そのレベルなら、ムダに解説が詳しいRulesを読むのは時間がもったいないだろう。
簡単な英文のSVOCなんていちいち見ないだろう。
Rulesと比較するなら、
同じ英文12題で、同じように全文を丁寧に解説してある
「英語長文ハイパートレーニング(安河内哲也)」だろう。
Rulesとハイパーなら、本当によく似ているので、どっちを買おうか迷う受験生もいるだろう。
それがどうして、「やっておきたい」との比較になるのか?
そういえば参考書のソムリエといっていた中森氏は武田塾を離れたようだが、
中森氏なら何と言うか、聞いてみたいものだと思った。
おそらく私と同じ意見だろう。